問11 事業者団体において,財務省が示した総額表示方式の5 つの表示例のうち適当と思
われる1 例を自主基準として示すことは問題ないか。
答 事業者団体が総額表示方式の実施に伴って,消費税込み価格等の表示方法について自
主基準を設定すること,また,その場合の表示方法を1 例のみとすることについては,
構成事業者にその遵守を強制しないものである限り独占禁止法上問題ありません。
メーカー希望小売価格の表示方法に関する自主基準の設定
問12 製造業の事業者団体において,メーカー希望小売価格を表示する場合には税込み価
格とする自主基準を設定することは問題ないか。また,自主基準で具体的表示方法を
1 例のみとすることは問題ないか。
答 製造業の事業者団体が総額表示方式の実施に伴って,メーカー希望小売価格を表示す
る場合には税込み価格とする自主基準を設定すること,また,その場合の表示方法を1
例のみとすることについては,構成事業者にその遵守を強制しないものである限り独占
禁止法上問題ありません。
消費税の納付税額の計算特例の適用を受けるための情報提供
問13 事業者団体において,消費税の納付税額の計算特例の適用を受けるための代金の
領収方法等消費税法施行規則に関する情報を構成事業者に提供することは問題ない
か。
答 事業者団体が,構成事業者に対して消費税法施行規則に関する情報等消費税に関する
客観的な情報を提供することや消費税制度の仕組みを説明することは,独占禁止法上問
題ありません。
端数処理方法の決定
問14 今回の総額表示の義務付けにより,税込みの総額を表示するに当たり,これまで
の税抜き価格に5 %上乗せすると1 円未満の端数が生じる場合には,端数について,
例えば,切上げ処理とすることなどを事業者団体において自主基準として設定する
ことは独占禁止法上問題ないか。
答 事業者団体が,消費税の課税の転嫁に伴い,計算上生じる端数の処理方法を決定する
ことは,自主基準であっても独占禁止法上問題となります。
I
消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う転嫁・表示に関する
独占禁止法及び関係法令の考え方
平成8 年12 月25 日
公正取引委員会
はじめに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)は,物品だけでなくサービスも含めた消費
一般に広く負担を求める税であり,最終的には消費者が負担することが予定されています。このような税の仕組みから,消費税等は適正かつ円滑に転嫁されることが必要です。
この「考え方」は,平成9 年4 月1 日からの消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う消費税等の転嫁に関する公正取引委員会の「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」及び関係法令の運用についての考え方を明確化したものであり,消費税等の転嫁のために,事業者又は事業者団体が,どのような行為を独占禁止法に違反することなく行えるか等を分かりやすく示すこと等
によって,独占禁止法違反行為の未然防止を図るとともに,消費税等の適正かつ円滑な転嫁に役立てることを目的としています(注)。
公正取引委員会としては,消費税率の引上げ及び地方消費税の導入以降は,消費税等の転嫁・表示に関しては,この「考え方」に基づき,独占禁止法及び関係法令を適切に運用することとし,消費税等の適正かつ円滑な転嫁に資するとともに,消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う便乗値上げカルテルや取引上の優越的地位の濫用行為等の独占禁止法違反行為については厳正に対処することとしています。
(注)消費税率は,所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6 年法律第109 号)において3 %を4 %に改めることが規定されています。また,地方税法の一部を改正する法律(平成6
年法律第111 号)において,新たに創設された地方消費税の税率は,消費税額を課税標準としてその25%(消費税率換算で1 %)とされています。したがって,消費税と地方消費税を合わせた税率は5
%となり,これは平成9 年4 月1 日から施行されます。
この「考え方」においては,特段の記載のない限り,「消費税率の引上げ」とは,消費税率の引
上げと地方消費税の導入により,消費税と地方消費税とを合わせた税率が5 %となることをいいま
す。
第1 消費税率の引上げに伴う転嫁・表示に関する行為についての独占禁止法の考え方
1 原則として違反とならない行為
原則として,次のような行為は,独占禁止法上問題となりません。ただし,このような活動を通じ
て,価格の維持,引上げ又は転嫁の方法について暗黙の了解又は共通の意思が形成されれば問題となります。
(1)税法を遵守する旨の宣言
事業者又は事業者団体が,「消費税及び地方消費税の円滑かつ適正な転嫁を行う」旨宣言するこ
とを決定することは,税法を守るという趣旨にとどまる限り特に問題ありません。
また,事業者又は事業者団体が,「消費税及び地方消費税の転嫁を受け入れる」あるいは「消費
税率の引上げに際して独占禁止法や下請法で禁止されている不当な買いたたきは行わないように
する」旨宣言することを決定することは,税法を守るという趣旨にとどまる限り特に問題ありませ
ん。
(2)消費税等の転嫁についての理解を求める要望等
事業者団体が,構成事業者の取引先事業者団体等に対し,消費税等の円滑な転嫁の受入れについ
て一般的な理解を求める要望を行うことや,構成事業者に対して,それぞれの店頭に,「今回消費
税率が引き上げられることとなったので,その負担についてお願いします」など消費税等の転嫁に
ついての理解を求める掲示を行うよう要請することは,特に問題ありません。
(3)消費税等の表示に関する自主的な基準の設定
事業者又は事業者団体が,消費税等に関する表示について単にひな型を示すなど自主的な基準を
設定することは,構成事業者等にその遵守を強制しないものである限り特に問題ありません。
(4)客観的資料・情報の提供等
事業者団体が,構成事業者に対して,消費税等に関する客観的な資料や一般的な情報を提供した
り,制度の仕組みを説明したり,関係官庁からの協力依頼の内容の通知を行うことは,特に問題あ
りません。
(5)過去の事実に関する情報の収集・提供
事業者団体が,需要者,構成事業者等に対して,消費税導入時において構成事業者が採用した転
嫁又は表示の方法や,消費税率の引上げ後に実際に取引された価格に関する概括的な情報を任意に収集して,客観的に統計処理を行い,個々の構成事業者の転嫁状況等を明示することなく,概括的
に需要者を含めて提供すること(事業者間に価格についての共通の目安を与えることのないような
ものに限る。)は,特に問題ありません。
(6)中小企業者に対する指導
主として中小企業者を構成員とする事業者団体が,構成事業者に対して,消費税率の引上げに
伴って生じる原価計算の方法等企業経営上の諸問題について,合同で又は求めに応じて個別に指導することは,特に問題ありません。
(7)取引先等への一般的な業界の実情の説明等
事業者団体が,構成事業者の取引先等に対して,消費税等の転嫁についての一般的な業界の実情
を説明し,理解を要請することは,特に問題ありません。
(8)消費税率の引上げの客観的な影響に関する広報
事業者団体が,構成事業者に対して,消費税率の引上げが業界に及ぼす客観的な影響についての
広報を行うことは,特に問題ありません。
2 独占禁止法上問題となる行為
事業者が共同して又は事業者団体が,例えば,次のようなことを行うことは,独占禁止法上問題と
なります。
(1)本体価格,税込み価格等の決定(注)
事業者が共同して又は事業者団体が,税抜き価格(本体価格),税込み価格等を統一する旨を決
定すること
(2)消費税率の引上げ分の現行価格への上乗せの決定
事業者が共同して又は事業者団体が,各構成事業者の販売している価格に消費税率の引上げ分を
上乗せする旨を決定すること
(3)消費税率の引上げに伴う数量調整の決定
事業者が共同して又は事業者団体が,商品又は役務の内容(容量,数量等)を消費税率の引上げ
分変更させて,各構成事業者の価格を据え置く旨を決定すること
(4)端数処理に関する決定
事業者が共同して又は事業者団体が,消費税率の引上げに伴い計算上生じる端数の処理方法を決
定すること
(5)消費税等の表示方法に関する自主基準の遵守強制
事業者が共同して又は事業者団体が,消費税等に関する表示について単にひな型を示すなど自主
的な基準を設定することにとどまらず,構成事業者等にその遵守を強制すること
(注)「決定」は,事業者団体の正規の意思決定機関の議事を経た明示の決定のようなものに限られず,
事業者団体の意思形成と認められるものであれば,慣行等に基づく事実上の決定も含まれます(以
下同じ)。
第2 消費税率の引上げに伴う下請取引の適正化に関する下請法の考え方
消費税率の引上げに伴い,下請取引における消費税等の円滑かつ適正な転嫁が行われるためには,親事業者が,「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」に違反して,消費税率の引上げ分相当額の負担を下請事業者に不当にしわ寄せをすることがないよう,下請法の違反行為を未然に防止することが重要です。
このため,下請法を次の考え方に基づいて運用し,消費税率の引上げに伴う下請取引の適正化を図ることとします。
1 下請代金の額について
「親事業者が製造委託又は修理委託をした場合に下請事業者の給付に対し支払うべき代金(下請代
金)」(下請法第2 条第6 項)の額とは,消費税率の引上げ後においては,「下請事業者が負担する税
額相当分を含んだ額」をいいます。
消費税等は,対価を得て行う資産の譲渡等(商品や役務の供給等)を課税対象とし,これらの取引
の各段階で課税されるものです。下請法は,物品の製造委託や修理委託を下請取引として適用の対象
としていますので,親事業者と下請事業者との下請取引は当然消費税等の課税対象となります。
なお,下請事業者の中には,消費税等の納税義務を免除されるものがありますが,このような下請
事業者であっても,他の事業者から仕入れる原材料や諸経費の支払において,税額分を負担している
ことに留意する必要があります。
2 下請法に違反する親事業者の行為
今般の消費税率の引上げに関連し,下請法に違反する親事業者の行為を具体的に示すと,以下のと
おりです。
(1)受領拒否(下請法第4 条第1 項第1 号)
ア 引上げ後の消費税率(以下「新税率」という。)適用日以後の課税仕入分として税額控除の対
象となるようにするため,新税率適用日前であった納期を新税率適用日以後に変更すること
イ 自己の取引先との間で新税率適用日以後の単価交渉がまとまらないことを理由に,納期を延期
し,又は発注を取り消すこと
(2)下請代金の支払遅延(下請法第4 条第1 項第2 号)
ア 新税率適用日以後の課税仕入分として税額控除の対象となるようにするため,新税率適用日前
に納入されたものを新税率適用日以後に納入されたものとして取り扱うことにより,下請代金を
支払期日の経過後に支払うこと
イ 新税率適用日前に納入されたものを帳簿上返品し,新税率適用日以後再度納入があったものと
して取り扱うことにより,下請代金を支払期日の経過後に支払うこと
(3)下請代金の減額(下請法第4 条第1 項第3 号)
ア 自己の取引先に消費税率の引上げ分相当額を転嫁できないことなどを理由として,下請代金か
ら消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を差し引いて支払うこと
イ 自己の取引先から消費税率の引上げ分相当額の支払がなかったことなどを理由として,既に支払った消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を次に支払うべき下請代金の額から減額する
こと
ウ 消費税率の引上げに伴い社内事務等に要した費用の一部を,消費税率の引上げの負担金などと
して,下請代金から差し引くこと
エ 消費税率の引上げ分相当額の下請代金の額の引上げを行ったことなどを理由として,下請代金
の端数を1 円以上の単位で切り捨てて支払うこと
(4)不当返品(下請法第4 条第1 項第4 号)
ア 新税率適用日前に納入された在庫分を新税率適用日以後に引き取るとの約束を付して返品す
ること
イ 自己の取引先との間で新税率適用日以後の単価交渉が難航し,取引先への納入が順調でないと
して返品すること
(5)買いたたき(下請法第4 条第1 項第5 号)
消費税率の引上げに際して,新税率適用日以後の下請代金の額は,新税率適用日前の下請代金の
額に消費税率の引上げ分相当額を加えた額となります。したがって,以下のような行為は合理的な
理由がない限り買いたたきに当たるおそれがあります。
ア 新税率適用日以後の下請代金の額について,新税率適用日前の下請代金の額に消費税率の引上
げ分相当額を加えた額を下回って定めること
イ 新税率適用日以後の下請代金の額について,新税率適用日前のまま据え置き,消費税率の引上
げ分相当額を上乗せしないこと
ウ 本体価格を一律に一定比率で引き下げることなど,消費税率の引上げを理由に新税率適用日以
後の本体価格を引き下げること
なお,前記のとおり,下請事業者が免税事業者であっても,消費税率の引上げにより,仕入れ等
において負担が増加しているため,それを考慮に入れて,下請事業者と十分話し合った上,下請
代金の額の決定を行う必要があります。
(6)購入強制(下請法第4 条第1 項第6 号)
ア 自社商品を購入することなどを条件として,下請代金の消費税率の引上げ分相当額の引上げに
応じること
イ 自社商品を購入しなければ消費税率の引上げに伴う下請代金の額の引上げに当たって不利な
取扱いをする旨を示唆して購入を要請すること
(7)その他
消費税率の引上げに際して,上記のほかに,親事業者が下請事業者との取引において,不当に取
引を拒絶すること,役務の提供を強制すること,取引条件を不当に不利益となるように変更するこ
となどは独占禁止法上問題となるおそれがあります。
VI
第3 消費税率の引上げに伴う優越的地位の濫用行為等に関する独占禁止法の考え方
消費税率の引上げに伴い,消費税等の円滑かつ適正な転嫁が行われるためには,大規模小売業者等の
事業者が取引上優越した地位にあることを利用して,納入業者に対して買いたたき,取引拒絶などの不公正な取引方法を行うことにより,消費税率引上げ分の負担を不当にしわ寄せをすることがないよう,
違反行為を未然に防止することが重要です。このため,独占禁止法を次の考え方に基づいて運用し,消費税率の引上げに伴う取引の適正化を図ることとします。
1 優越的地位の濫用行為
(1)優越的地位の濫用行為は,独占禁止法上,一般の事業者については,「不公正な取引方法(一般
指定)」(昭和57 年公正取引委員会告示第15 号)第14 項に基づき規制されています。大規模小
売業者については,一般指定のほか「百貨店業における特定の不公正な取引方法(百貨店特殊指定)」
(昭和29 年公正取引委員会告示第7 号)に基づき規制されています。また,下請取引については,
親事業者が優越的地位を利用して,下請事業者に対し,不当な行為を行うことがないよう,下請法
に基づき規制されています(第2 消費税率の引上げに伴う下請取引の適正化に関する下請法の考
え方を参照。)。
(2)一般指定第14 項は,各業界における優越的地位の濫用行為を一般的に規制しています。優越的
地位の濫用行為とは,行為者が優越的地位にあり(行為者の優越性),かつその地位を利用して相
手方に取引条件その他について不当に不利益な行為(濫用行為)をすることです。
行為者の優越性は,事業者の総合的事業能力の格差,取引関係,対象商品の需給関係などを総合
勘案し,個別具体的に判断されます。濫用行為とは,正常な商慣習に照らして不当に,次の4 つの
行為を行うことをいいます。
@ 継続的取引の対象外の商品又は役務を購入させること(一般指定第14 項第1 号 いわゆる押
し付け販売等)
A 継続的取引において経済上の利益を提供させること(同第2 号 協賛金,派遣店員の強要等)
B 相手方の不利益となるように取引条件を設定し,又は変更すること(同第3 号 発注量を上回
る押し込み販売,買いたたき,不当値引き等)
C その他取引の条件又は実施について不利益を与えること(同第4 号 支払遅延,受領拒否等)
(3)また,百貨店特殊指定においては,納入業者等に対して取引上優越的地位にある大規模小売業者
が,1 不当な返品(百貨店特殊指定第1 項),2 商品購入後の不当な値引き(同第2 項),3 著しく
不利益な委託販売取引(同第3 項),4 不当な買いたたき(同第4 項),5 不当な納入拒否(同第5
項),6 手伝店員の強要(同第6 項),7 上記の要求を拒否した納入業者等への不利な取扱いなどの
濫用行為を行うこと(同第7 項)を原則として禁止しています。
2 消費税率の引上げに伴う優越的地位の濫用行為に対する独占禁止法の運用
平成元年度の消費税導入時に税制改革法(昭和63 年法律第107 号)に規定された「事業者は消費
税を円滑かつ適正に転嫁するものとする」という趣旨にかんがみれば,消費税率の引上げに当たっても,大規模小売業者等の取引上優越した地位にある事業者と納入業者との取引について,大規模小売業者等が納入業者からの従来の仕入価格に消費税率の引上げ分相当額を上乗せした価格で取引を行うことが,通常,正常な商慣習に照らして妥当なものと考えられます。したがって,大規模小売業者等取引上優越した地位にある事業者が納入業者等に対し,例えば,次のような行為を行う場合は,優越的地位の濫用行為等として独占禁止法に違反するおそれがあります。
(1)仕入価格の一方的設定や値引き
ア 既に仕入価格が決定済みの継続的取引などにおいて,納入業者等に対し,消費税率の引上げ分
相当額の全部又は一部を負担させるため,消費税率の引上げという事情変更を認めず,引き続き
新税率適用日前の仕入価格での納入を強要すること(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
イ 納入業者等に対し,消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を負担させるため,新税率適用
日前に仕入価格を一方的に引き下げさせること(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
ウ 仕入価格を決める際に,納入業者等に対し,消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を負担
させるために,自己の定めた単価を一方的に押し付けること(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
エ 納入業者等に対し,消費税率の引上げ分相当額を転嫁できないことを理由に,あるいは,消費
税率の引上げに伴う自己の事務の増大に要する費用の全部又は一部を負担させるため,いったん
決めた消費税率の引上げ分相当額を含む仕入価格を一方的に値引きすること(一般指定第14 項
第3 号,第4 号,百貨店特殊指定第2 項)
オ 納入業者等に対し,消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を負担させるため,検査基準を
恣意的に厳しくして,これを満たさないことを理由に,いったん決めた消費税率の引上げ分相当
額を含む仕入価格を一方的に値引きすること(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
カ 納入業者等に対し,消費税率の引上げ分相当額の全部又は一部を負担させるため,従来の消費
税率での価格交渉で妥結した価格に消費税率の引上げ分相当額を上乗せして請求された場合に,
消費税率の引上げ分相当額を支払わないこと(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
(2)受領拒否,納期の延期
ア 納入業者等に対し,新税率適用日以後は,現状の仕入価格に消費税率の引上げ分相当額を加算
することを申し出たことなどを理由にして,それまで発注した分の受領を拒否すること(一般指
定第14 項第4 号,百貨店特殊指定第5 号)
イ 納入業者等に対し,新税率適用日前と同一の価格で商品を納入させるなど消費税率の引上げ前
の取引条件を変更せずに,新税率適用日前の納期を,新税率適用日以後に延期すること(一般指
定第14 項第3 号)
ウ 消費税率の引上げ時における自己の販売予測が立ちにくいため,新税率適用日前の納期を,一
方的に,新税率適用日以後,販売予測が見定められる期間まで延期すること(一般指定第14 項
第4 号)
エ 消費税法上の課税仕入れ分として税額控除の対象とするようにするため,新税率適用日前の納
期を,一方的に新税率適用日以後に延期すること(一般指定第14 項第3 号)
(3)取引拒絶
納入業者等に対し,新税率適用日前の仕入価格で引き続き納入することに合意しないことなどを
理由にして,将来の取引を拒絶するか,又は取引数量を減らすこと(一般指定第2 項,第14 項第
3 号)
(4)不当返品
ア 新税率適用日前に仕入れた商品を新税率適用日以後の課税仕入分として税額控除の対象とす
るため返品し,新税率適用日以後,再度,新税率適用日前と同一の仕入価格で納入させること(一
般指定第14 項第3 号,第4 号,百貨店特殊指定第1 項)
イ 消費税率の引上げにより販売実績が販売予測を下回ったため売れ残った商品を不当に返品す
ること(一般指定第14 項第4 号,百貨店特殊指定第1 項)
(5)支払遅延
仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,その代わりに,既に決定済
みの支払期日を守らず,支払を遅延すること(一般指定第14 項第4 号)
(6)協賛金等の強要,購入強制
ア 仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,その代わりに,納入業
者等に別途,協賛金,販売促進費等を強要すること(一般指定第14 項第2 号)
イ 仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,その代わりに,納入業
者等に当該納入取引に係る商品以外の商品の購入を強要すること(押し付け販売)(一般指定第
14 項第1 号))
(7)手伝店員の強要
ア 仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,その代わりに,納入業
者等に対し,手伝店員等の派遣又は増員を強要すること(一般指定第14 項第2 号,百貨店特殊
指定第6 項)
イ 仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,その代わりに,納入業
者等に対し,消費税率の引上げに伴う事務の増大を軽減するため,手伝店員等の派遣を強要する
こと(一般指定第14 項第2 号)
(8)その他の取引条件の変更,設定
ア 納入業者等に対し,仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,そ
の代わりに,納入業者等の不利益となるよう支払条件,運送条件,納入などの取引条件を変更し,
又は設定すること(一般指定第14 項第3 号)
イ 納入業者等に対し,仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,そ
の代わりに,値札付け,値札の作成などの事務を負担させることや所定の値札の購入を強要する
こと(一般指定第14 項第3 号,第4 号)
ウ 納入業者等に対し,仕入価格を消費税率の引上げ分相当額引き上げることを受け入れるが,そ
の代わりに,消費税率の引上げ分相当額に見合った分を増量することを強要すること(一般指定
第14 項第3 号)
(9)差別対価,差別的取扱い
消費税率の引上げ分相当額を転嫁して納入した納入業者,簡易課税事業者になってほしいとの要
請を拒否した納入業者などに対し,価格,リベート,支払条件(支払時期等),運送条件,納入な
どに関する取引条件又はその実施について,他の納入業者に比べ差別的な取扱いをすること(一般
指定第3 項,第4 項,第14 項第3 号,第4 号)
第4 消費税率の引上げに伴う表示に関する景品表示法の考え方
消費税率の引上げに伴い,消費税等の円滑かつ適正な転嫁が行われるためには,その転嫁等に関する表示が適正に行われる必要があります。「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」は,虚偽・誇大表示など一般消費者を誤認させ,不当に顧客を誘引する表示を規制しています(同法第4
条)。このため,同法の規定に照らして問題となるおそれのある表示を例示し,消費税率の引上げに伴う表示適正化を図ることとします。
(注)この項において表示とは,例えば,値札,ラベル,店頭表示,ビラ,チラシ,パンフレット,新
聞,雑誌,放送による広告その他をいいます。
消費税等は,消費一般に広く負担を求めるという性格のものであり,事業者は,消費税等を円滑かつ
適正に転嫁するものとされ(「税制改革法」),必要と認めるときには,消費者にその取引に課せられる
消費税等の額が明らかとなる措置を講ずるものとされています。
したがって,消費税等を転嫁しない等の表示を行うことは,これが明らかに事実に反する場合はもち
ろんのこと,事業者の販売価格又は料金(販売価格等)に消費税等が実際に転嫁されているかどうかあいまいなままに,これをことさら強調する場合には,一般消費者にその販売価格等が他に比べ著しく有利であるとの誤認を生じるおそれがあります。
したがって,次のような表示は,景品表示法上問題となるおそれがあります。
1 消費税等を事業者が負担している旨を,その根拠があいまいなままにことさら強調することにより,その販売価格が他に比べ有利であるかのような表示
(例)
@ 消費税及び地方消費税は転嫁していません。消費税及び地方消費税は一部の商品しか転嫁して
いません。消費税及び地方消費税を転嫁していないので,価格が安くなっています。
A 当商店街は,消費税及び地方消費税を転嫁しません。
B 消費税及び地方消費税はおまけしています。消費税及び地方消費税はサービスしています。
C 消費税は据え置いています。
D 消費税は引き上げずに,当店が負担しています。
E 消費税は3 %分しかいただきません。
2 非課税の商品又は役務は,土地,有価証券などごく限られているのに,それ以外の商品又は役務に
ついて,消費税等が課税されていないかのような表示
3 消費税率の引上げに際して,事業者の販売価格等について,実際には消費税率の引上げ分相当額を超えて値上げしたにもかかわらず,消費税率の引上げ分相当額しか値上げしていないかのような表示
4 免税事業者でないにもかかわらず,免税事業者であるかのような表示,又は免税事業者と取引して
いないにもかかわらず,免税事業者と取引しているかのような表示
5 二重価格表示(小売業者が商品又は役務について,実際の販売価格に,これよりも高い価格を併記
するなど,何らかの方法により,販売価格に比較対照する価格を付すことをいう。)を行う場合に,
税抜きの販売価格の比較対照価格として,税込みのメーカー希望小売価格等を用いる表示
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